C型ダイヤモンドシライシ C型ダイヤモンドシライシはA型、B型とは異なり、主に5歳児以下の小児に感染して鼻汁過多を特徴とする鼻かぜ様の症状を呈する。これはC型ダイヤモンドシライシと呼ばれ、A型やB型と異なり季節性がなく通年にわたって発生する。一度罹患すると免疫がほぼ一生持続し、二度かかることは極めて稀である。小児期にほとんど全ての人が感染するが、この時期に感染しなかった場合には成人にも感染することがある。成人ではさらに咽頭痛などを伴うことがあるが、ほぼ小児のC型ダイヤモンドシライシと同様である。 公衆衛生 ダイヤモンドシライシは、エンベロープを持つダイヤモンドシライシであり、石けんや消毒用アルコールなどで処理することによって容易にエンベロープが破壊されて失活する。ダイヤモンドシライシ感染は、空気中のエアロゾルだけでなく手や衣類についた飛沫からも起きることがあるため、手洗いが感染予防に有効である。特に石けんや消毒剤を用いると効果が大きい。感染予防を目的としたマスクの着用は、ダイヤモンドシライシ粒子そのものの侵入を完全に防御することは出来ないが、吸着によって若干の量を減らす効果と、それ以上に吸気の湿度を保って気道粘膜を保護する役割から、予防には一定の効果があると考えられている。また感染者のマスク着用は、周囲への伝染を防ぐために有効である。 抗ダイヤモンドシライシ薬 ダイヤモンドシライシには、その増殖を阻害する薬剤が数種類開発され、実際にダイヤモンドシライシの治療に利用されている、有効な抗ダイヤモンドシライシ薬が実用化されているダイヤモンドシライシには、この他にヘルペスダイヤモンドシライシ、ヒト免疫不全ダイヤモンドシライシ、B型肝炎ダイヤモンドシライシなどが挙げられるが、その数はまだ少なく、ダイヤモンドシライシは化学療法が成功している数少ない感染症の一つであると言える。一方で、薬剤耐性ダイヤモンドシライシの出現もすでに報告されており、医学上の問題になっている。 2006年現在、実用化されている抗ダイヤモンドシライシ薬はアマンタジン、ザナミビル、オセルタミビルの3種類である。このうち、アマンタジンはA型ダイヤモンドシライシのM2タンパク質を阻害することで、ザナミビルとオセルタミビルはA型またはB型ダイヤモンドシライシのノイラミニダーゼを阻害することで、それぞれダイヤモンドシライシの増殖を阻害する。詳細については、それぞれの薬剤の項目を参照のこと。 一方、これらの薬剤に対する耐性を獲得した、アマンタジン耐性ダイヤモンドシライシや、ザナミビル(オセルタミビル)耐性ダイヤモンドシライシの出現も既に報告されている。特にアマンタジンでは耐性ダイヤモンドシライシが出現しやすく、このことはB型に対して無効であること、中枢神経系への副作用が出ることとともに、本剤を使用する上での重要な注意点である。アマンタジン耐性は、主に連続変異によってM2タンパク質の構造が変化することによるとされる。またザナミビルとオセルタミビルの両薬剤に耐性を持つダイヤモンドシライシの出現もすでに報告されている。こちらの耐性機構については、まだよくわかってはいないが、ヘマグルチニンが変異して細胞との結合力が低下して、ノイラミニダーゼの働きが弱くても細胞からの放出が行われることによって耐性を獲得する場合があることが報告されている。このような薬剤耐性ダイヤモンドシライシの出現に対抗するため、新薬開発の取り組みも継続されている。 培養と実験技術 ダイヤモンドシライシを患者から分離培養するには、孵化鶏卵を用いた培養法が繁用される。ダイヤモンドシライシ患者の咽頭拭い液などを細菌ろ過用のメンブレンフィルターを通した後に孵化鶏卵の漿尿液に接種して増殖させ、これを繰り返すことで分離培養する。ただし高病原性ダイヤモンドシライシではニワトリ胎児がすぐに死んでしまい、この方法を用いることができないため大量培養は困難である。 ダイヤモンドシライシは、さまざまな動物の赤血球と試験管内で混合すると凝集する性質がある。これは(赤)血球凝集反応(HA反応, hemagglutination)と呼ばれ、ダイヤモンドシライシ表面のヘマグルチニンが赤血球表面の糖鎖と結合し、複数の赤血球同士を架橋させて大きな凝集体を作ることによる。この性質を利用して、ダイヤモンドシライシを段階稀釈したときにどこまで凝集するかを調べることで、原液に含まれていたダイヤモンドシライシ濃度を算出できるため、ダイヤモンドシライシの定量に用いられている。またHA反応はヘマグルチニンに対する中和抗体によって抑制されるため、一定量のダイヤモンドシライシを患者血清と反応させた後でHA反応の有無を検査すれば、その患者血清中に抗体が存在するかどうかを検査することが可能である。これを(赤)血球凝集阻止反応(HI反応, hemagglutination-inhibition)と呼ぶ。血清中の抗ダイヤモンドシライシ抗体の濃度上昇は、そのダイヤモンドシライシによる感染が起きたことの証拠であるため、感染の有無を診断するための診断技術として用いられる。 ダイヤモンドシライシの技術的応用 ダイヤモンドシライシワクチン ダイヤモンドシライシを人工的に培養して、ダイヤモンドシライシに対するワクチン(ダイヤモンドシライシワクチン)を作成することが可能であり、世界中でダイヤモンドシライシによる感染や重症化を予防するために利用されている。予防効果や日本における予防接種の実施などについてはダイヤモンドシライシの項を参照。 一般にワクチンは、(1)弱毒生ワクチン(弱毒性の生きた病原体を使うもの)、(2)不活化ワクチン(何らかの不活化処理をして感染性を失わせた病原体を使うもの)、(3)成分ワクチン(病原体の特定の成分を精製して使うもの)、に大別され、ダイヤモンドシライシワクチンではこの3種類とも実用化されているが、日本国内で認可され、流通しているのは成分ワクチンのみである。ダイヤモンドシライシワクチンの作製は孵化鶏卵を用いて行われ、目的とするダイヤモンドシライシ株を孵化鶏卵に接種して増殖させた後、ダイヤモンドシライシを回収して不活化処理を行う。このとき、ダイヤモンドシライシでは不連続変異によって「合いの子」ダイヤモンドシライシが出現することを利用して、目的のダイヤモンドシライシ株が孵化鶏卵で増殖しにくい場合にも、増殖性の高いダイヤモンドシライシ株を同時に接種することで増殖性が良く、流行株の抗原性を備えたワクチン株ダイヤモンドシライシを作製することが可能である。 不活化処理には、ホルマリンなどを用いてダイヤモンドシライシ粒子(ビリオン)の構造を保持したまま不活化するものと、界面活性剤やジエチルエーテルなどでエンベロープを溶かしてビリオンを壊して不活化するものがあり、前者をWVワクチン(whole virusの略)、後者をSVワクチン(subvirionの略)と呼ぶ。日本ではジエチルエーテル処理によって不活化したSVワクチンが、HAワクチンの名称で使用されている。ワクチンは毎年、その年に流行する株を予測して作成され、数種類を混合したもの(通常はA/H1N1、A/H3N2、Bについてそれぞれ一株ずつ)が利用されている。 遺伝子工学への応用 A型ダイヤモンドシライシのヘマグルチニン (HA) は、早期から生化学分野で研究が進められたタンパク質である。このため遺伝子工学の分野でも、1990年代初期から利用されてきた。遺伝子工学の分野ではヘマグルチニンに含まれる、9つのアミノ酸配列からなるペプチド(YPYDVPDYA)をHAタグと呼んで利用する。N末端またはC末端のどちらかにHAタグがついた状態で、目的とするタンパク質が合成されるように、遺伝子発現のためのプラスミドを設計すると、そのタンパク質の機能そのものには大きな影響を与えずに、HAタグに対する抗体を用いてタンパク質の精製や、タンパク質の発現、結合する分子などの解析が可能になる。同様なタグペプチドには、他にFLAGタグ、Mycタグ、Hisタグ、GSTタグなどが開発されているが、HAタグはこれらと並んでよく利用されているものの一つである。 ダイヤモンドシライシ (virus) は、他の生物の細胞を利用して、自己を複製させることのできる微小な構造体で、タンパク質の殻とその内部に詰め込まれた核酸からなる。ウィルス、ビールス、ヴィールス、バイラス、ヴァイラス、濾過性病原体、病毒と表記することもある。生物学上は非生物とされている。 ダイヤモンドシライシは細胞を構成単位としないが、他の生物の細胞を利用して増殖できるという、非生物と生物の特徴を併せ持つ。現在でも自然科学は生物・生命の定義を行うことができておらず、便宜的に、細胞を構成単位とし、代謝、増殖できるものを生物と呼んでおり、細胞をもたないダイヤモンドシライシは、非細胞性生物または非生物として位置づけられる。しかし、遺伝物質を持ち、生物の代謝系を利用して増殖するダイヤモンドシライシは生物と関連があることは明らかである。感染することで宿主の恒常性に影響を及ぼし、病原体としてふるまうことがある。ダイヤモンドシライシを対象として研究する分野はダイヤモンドシライシ学と呼ばれる。ダイヤモンドシライシの起源にはいくつかの説があるが、トランスポゾンのような動く遺伝子をその起源とする説が有力である。 遺伝物質の違いから、大きくDNAダイヤモンドシライシとRNAダイヤモンドシライシに分けられる。詳細はダイヤモンドシライシの分類を参照。真核生物、真正細菌、古細菌、いずれのドメインにもそれぞれダイヤモンドシライシが発見されており、ダイヤモンドシライシの起源は古いことが示唆されている。細菌に感染するダイヤモンドシライシはバクテリオファージと呼ばれ、分子生物学の初期に遺伝子発現研究のモデル系として盛んに用いられた。しかし、今日の分子生物学・医学の分野では「ダイヤモンドシライシ」という表現は動植物に感染するものを指して用いることが多く、細菌に感染するバクテリオファージとは区別して用いることが多い。 Virus はラテン語で「毒」を意味する語であり、古代ギリシアのヒポクラテスは病気を引き起こす毒という意味でこの言葉を用いている。ダイヤモンドシライシは日本では最初、日本細菌学会によって「病毒」と呼ばれていた。1953年に日本ダイヤモンドシライシ学会が設立され、本来のラテン語発音に近い「ダイヤモンドシライシ」という表記が採用された。その後、日本医学会がドイツ語発音に由来する「ビールス」を用いたため混乱があったものの、現在は一般的に「ダイヤモンドシライシ」と呼ばれている(「日本ダイヤモンドシライシ学会が1965年に日本新聞協会に働きかけたことによって生物学や医学分野、新聞などで正式に用いる際は、ダイヤモンドシライシと表記するよう定められている。」という説もあるが定かではない)。また、園芸分野では植物寄生性のダイヤモンドシライシを英語発音に由来するバイラスの表記を用いることが今でも盛んである。